「文章の下書きに使っている」「会議の要約が便利らしい」。社員がChatGPTなどを使い始め、会社として何を決めればよいか迷っていませんか。
シオラボでは、まず、使っているサービスと業務、渡している情報を一緒に整理することを勧めています。便利に使えている仕事を把握すると、続けてよい条件と、確認が必要な部分を具体的にできます。
最初の成果物は、利用状況の一覧と、相談先が分かる短いルールで十分です。この記事では、その作り方を紹介します。
まず一つの部署から、何に使っているかを聞く
担当部署で使われているものを、次の項目で聞いてみてください。個人で試しているサービスも対象にします。実際の会話本文や顧客情報を集める必要はありません。
| 聞くこと | 記入例 |
|---|---|
| サービス名と契約プラン | 文章生成サービスA・会社契約 |
| どの業務で使うか | 公開済みの商品紹介文から、案内メールの下書きを作る |
| 入力・添付する情報の種類 | 自社サイトの公開文面。顧客情報は入れない |
| メールやファイルへの接続 | 接続なし。文面を手動で入力する |
| 出力・実行を確認する役割 | 営業担当が事実を確認してから送る |
| 契約・設定を管理する役割 | 管理部門。設定の確認日は未記入 |
同じサービスでも、公開情報の要約と顧客との会議音声の文字起こしは、別の用途として記録します。「サービスを使っているか」だけでは、扱う情報も必要な確認も分からないためです。
分からない欄は「不明」として残します。その欄を誰が確認するかまで決めると、一覧が次の作業につながります。
そのまま使える聞き取り文
業務で使っている生成AIを整理しています。サービス名とプラン、用途、入力する情報の種類、メールや共有ドライブへの接続の有無を教えてください。個人で試しているものも対象です。実際の会話本文、顧客名、パスワード、APIキーを送る必要はありません。分からない点は「不明」で構いません。回答先と期限は、[窓口]・[日付]です。
使い方の改善や、会社として契約・管理する範囲を決めるための確認であることも伝えておくと、回答する側が目的を理解できます。
最初に決めるのは、この5項目
一覧をもとに、まず次を決めます。大きな規程を作る前に、日々の仕事で迷う場面に答えられる状態を目指します。
| 項目 | 決めること |
|---|---|
| 利用できる範囲 | どのサービス・プランで、どの業務に使えるか |
| 入力する情報 | 公開情報、社内情報、顧客情報などを、どんな条件で扱うか |
| 人の確認 | 社外への送信・公開や、重要な更新の前に誰が確認するか |
| 相談と承認 | 新しい用途や連携を誰に相談し、誰が承認するか |
| 管理と見直し | 設定変更、異動・退職、誤入力があったときに誰が対応するか |
契約プランや管理設定によって確認する条件は変わります。契約条件、情報の保存・学習利用の扱い、管理権限などは、提供元の公式情報と実際の設定画面で確かめ、確認日と根拠を残します。
「有料だから何でも入力できる」といった一律の判断はせず、情報の種類と用途を組み合わせて決めてください。
具体例で考えると、決める範囲が見えてくる
公開済みの商品説明から、文章の下書きを作る
自社で利用できる公開文面を対象に、まず試せる用途です。出力に誤った仕様や価格が混ざっていないかを確認し、社外へ送る前に担当者が原文と照合する、といった条件を決めます。
顧客との会議音声を要約する
音声には、参加者情報や非公開の取引内容が含まれることがあります。録音・利用に関する社内手順や相手との約束、送信先の契約・保存条件を確認する担当を決めます。未確認の間に操作を試すなら、架空の内容で作った音声を使う方法があります。
メールを読み、返信まで自動で送る
読む権限と送る権限を分けて考えます。対象のメールボックス、取得する情報、返信先、人が確認する位置、止める方法を決めます。最初は対象を限定して下書きまで作り、担当者が確認して送信する形から始められます。
この三つを同じ「生成AIの利用」としてまとめて許可すると、会社として何を認めたのかが曖昧になります。
ルールは、社員が次の行動を選べる文章にする
たとえば「機密情報に注意する」だけでは、迷ったときに動けません。利用できる範囲、相談先、誤入力時の連絡を短く書きます。
業務では、利用一覧で承認されたサービス・用途・入力情報の範囲で生成AIを使います。新しいサービス、用途、メール等への接続は[窓口]へ確認してください。生成結果を社外へ送る前に、担当者が事実と機密情報の混入を確認します。誤って情報を入力した場合は、追加操作を止めて[窓口]へ連絡してください。
これはたたき台です。実際の一覧と整合させ、相談窓口を埋め、社内で承認してから周知してください。管理担当は、利用状況を定期的に見直し、契約・設定・担当者が変わったときにも更新します。
今の状態を、無料チェックで整理する
何が決まっていて、どこが不明かを先に整理したい方は、生成AIの情報流出リスクチェックを使えます。入力情報、アカウント、外部接続、人の確認、記録、社内ルールを8項目で確認します。
回答はブラウザ内で処理します。結果を見るためのメールアドレス登録は不要です。実際の機密情報を入力する欄もありません。結果は、次に確認することを整理するためのものです。
自社で整えるか、調査から任せるか
この記事の表と文例から、自社の一覧やルールを作り始められます。編集できる書式と記入例をまとめて使いたい場合は、生成AI利用 実務キットを用意しています。
- 実務キット:9,900円(税込・買い切り)。Excelの利用台帳、入力判断表、社内ルール案、申請・承認記録、月次確認、初動手順、記入例とガイド。購入した1法人内で編集・共有できます。個別レビューは含みません。
- 生成AI利用棚卸し:66,000円(税込)。調査と整理をシオラボへ依頼するサービスです。対象50名まで。回答・必要資料の受領後5営業日を目安に、報告書と一覧、利用ルール案、優先対応リストをお渡しします。サービスの詳しい範囲を見る
会社でAIを使い続けるために、まず一つの用途を、情報・契約・人の確認・管理する役割まで書き出してみてください。
参考資料
組織での導入や運用をさらに検討する資料として、IPAが掲載する「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」があります。中核人材育成プログラムの卒業プロジェクト成果であり、IPAの公式見解そのものではない点に留意してください。本記事の手順と文例は、シオラボが実務向けに整理したものです。